theo-construction

COLUMN

コラム

ICT技術【タブレット端末】と【3Dレーザースキャナ】の活用:施工管理の効率化と精度向上への道

タブレット端末、施工管理

現代の建設業界では、ICT技術の活用がますます重要になっています。特に、タブレット端末と3Dレーザースキャナの活用は、施工管理の効率化と精度向上に大いに寄与しています。本記事では、これらの技術が具体的にどのように施工管理に役立つのか、橋梁建設現場での具体的な事例を通じて紹介します。これらの事例は、施工管理技士の方々が日々の業務で直面する課題を解決するための参考になることでしょう。

 ICT技術とタブレット端末を活用した施工管理の革新

1. 導入

近頃、ICT技術の活用により、建設現場での生産性向上が求められています。本記事では、特に橋梁建設現場でのICT技術の活用例として、タブレット端末(iPad)を用いた施工管理の事例を紹介します。

2. 現場での課題

橋梁の架設工法では、高力ボルト逐次剛結によるサイクル架設が行われ、高力ボルト締付け作業が連続します。これにより、架設日の大半で現場予備試験を行う必要がありました。また、ベント基礎杭支持力の算出や形状測定データの把握など、日常の施工管理業務が増大することが予想されました。これらの課題を解決するために、タブレット端末(iPad)を活用した施工管理方法を探求しました。

3. 改善点と結果

タブレット端末を活用することで、以下のような改善が見られました。

図面や施工資料の閲覧:

現場から施工地点までの移動中に、タブレット端末に保存した最新の図面や施工資料を確認することで、時間ロスを削減しました。

支持力算出:

ベント基礎杭打設時の支持力管理において、iPad内に組み込んだ計算式を用いて、現場での測定値から迅速に支持力を算出し、合否判定を行うことが可能になりました。

高力ボルト現場予備試験帳票の自動作成:

測定値を入力するだけで帳票の自動出力が可能となり、調書作成時間を大幅に削減しました。

出来形管理への活用:

 桁地組・桁架設時の形状管理において、iPadに組み込んだ計算表を用いて、形状誤差の把握を迅速に行うことができました。

機材管理への活用:

社内機材の搬入・搬出時の数量や重量管理において、iPadを用いて数量入力を行うことで、残機材の把握や機材返送明細の自動作成が可能となりました。

4. 結論

ICT技術の活用は、建設生産性の向上に有効であり、特にタブレット端末の活用は、日常管理業務の迅速化および効率化に大いに寄与します。一つ一つの活用は小さな効果かもしれませんが、工事全体を通じて見ると大きな効果が得られます。今後も、このような有効な活用を広げていくことが重要と考えられます。

3Dレーザースキャナを活用した施工計画の効率化と精度向上

1. 導入

ICT技術の一つである3Dレーザースキャナは、建設現場での施工計画の精度向上に大いに貢献しています。本記事では、葛島第1高架橋上部工事における3Dレーザースキャナの活用例を紹介します。

2. 現場での課題

国道32号を跨ぐ部分の架設工法を、一夜間通行止めによる一括架設に変更する際に、地組立ヤードから架設地点への桁の運搬と一連の架設作業における問題点を事前に把握し解決する必要がありました。

3. 3Dレーザースキャナの活用

本工事では、3Dレーザースキャナを採用しました。3Dレーザースキャナは一度に360°全方向、広範囲の計測が可能で、データ処理・合成時間が短いという特徴があります。また、計測作業の効率化を考慮し、作業日数は3Dレーザースキャナを用いた場合、1/3に削減可能であることが確認されました。

4. 計測データと3次元モデルの統合

3Dレーザースキャナで取得した現地の「点群データ」と、鋼桁の工場製作時に作成した「3次元プロダクトモデル」、多軸台車・クレーンベントなど「架設設備のモデル」の3つのデータの座標を合わせて統合モデルとし、架設現場状況を3次元モデルとして再現しました。

5. 架設計画・検討への適用

統合モデルを用いて抽出した問題点を解決しました。具体的には、地組立ヤードから架設地点までの運搬経路の変更、クレーン配置や吊り上げ地点の検討、架線の移設などが行われました。

6. 結論

3Dレーザースキャナの活用は、作業人員の削減やデータ処理時間の短縮が可能で、省人化施工への有効性を実証しました。また、BIM/CIMやi-Constructionの推進において大きな役割を果たすものと考えられます。

本記事は、施工管理技士の方々にとって、ICT技術とタブレット端末、3Dレーザースキャナの活用による施工管理の効率化と精度向上についての参考になることを願っています。これらの技術は、それぞれが小さな効果をもたらすかもしれませんが、全体として見ると大きな効果が得られます。今後も、このような有効な活用を広げていくことが重要と考えられます。

関連記事一覧

ご登録・お問い合わせはこちら

050-5482-3847

受付時間 9:00〜18:00