COLUMN
コラム派遣禁止業務とは、労働者派遣法で規定されている、派遣労働者がしてはいけない業務のことです。
港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院・診療所等における業務、弁護士・社会保険労務士等の士業務などが相当します。
港湾運送業務でいえば、湾岸から船舶に貨物を積込んだり降ろしたり、船舶上で荷物の移動や固定をすることは派遣禁止業務となります。
派遣禁止違反の罰則は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
労働者派遣法の罰則は4段階に区分されています。派遣禁止違反の罰則は、2番目に重い罰則です。
罰則は労働者を禁止業務に就かせた派遣先だけでなく、派遣元も派遣業務の停止命令などのペナルティーが下されます。
施工管理や現場監督として派遣先に配属された際に、建設業務の禁止業務に該当する事例を把握しておくことは違反を起こさないために重要です。
派遣禁止業務として覚えておいてほしい14業務を紹介しますので参考にしてください。
建設業務とは、土木や建築、その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業やその準備に係る業務をいいます。
ですから、建設現場での作業やその準備のための作業は派遣禁止業務となります。たとえば、ビルや家屋などを建築している現場での資材の運搬や組立などが該当します。
道路、河川、橋、鉄道、港湾、空港などの新設や修繕の工事現場での作業は派遣禁止業務です。掘削や埋立、資材の運搬や組立などが当てはまります。
施工計画書の作成や、品質管理や工程管理などの施工管理は派遣禁止業務に含まれません。ただし、専任でその職務に従事するには、恒常的な雇用関係が必要なため派遣業務の対象とはならないので注意が必要です。
コンクリートの調合や建築資材の加工などは、派遣禁止業務に該当します。
土木や建築の現場では、セメントや水、骨材などを調合してコンクリートを生成しますが、これも工事の準備のための作業になるため派遣労働者が作業を行うことは禁止されています。
コンクリートの生成に限らず、建設資材を施工のために加工するなどの準備作業全般が派遣禁止業務です。
派遣労働者の建設業務に係る準備作業全般の業務禁止は、労働者派遣法4条で規定されています。
土木や建築など、建設工事現場での構造物の建設、改造や保存、修繕、更新、破壊や解体作業における準備作業はすべて禁止されています。
建設工事現場内での資材や機材の搬送は、派遣労働者の禁止業務です。
ただし、当てはまるのは現場内での搬送業務であり、現場外の工場や倉庫などから持ち込まれる資材や機材の搬入に関しては禁止業務に該当しません。
建設工事現場内での壁や天井、床や塗装の補修作業は派遣禁止業務です。
壁や天井、床などのちょっとしたひび割れや亀裂であっても、派遣労働者が補修作業を行うことはできません。
建設工事の現場で壁や天井などに、建具類を設置したり撤去したりすることも禁止されています。建具類とは、戸や障子、ふすま、窓、ドアなどのことです。
建物の改変や修理、解体などを目的とする場合の建具類の撤去も派遣労働者の禁止業務です。
建築物や構造物の外壁部分に電飾板や看板などを設置したり撤去したりするのは派遣労働者の禁止業務です。
当該工事に関係ない立場であっても、外壁部分への看板などの設置は認められていません。
建築や土木工事の現場において、配水や配電のための管や機器の設置をする作業も派遣禁止業務です。
直接、配管工事を行う業務だけでなく、それに関連した機器の設置を行うことも認められていませんので注意が必要です。
工事現場出入口の開閉、車両出入りの管理・誘導は、派遣労働者の禁止業務です。建設機械等を含む、工事現場に出入りするすべての車両について禁止されています。
工事現場での工事終了後の整理や清掃、後片付けなども派遣禁止業務となっています。直接、工事とは関係のない現場でも、清掃や資材整理などは禁止されているので注意が必要です。
また、当然のことですが、建築物の内装の仕上げなども禁止業務となっています。
イベント用の大型仮設テントや大型仮設舞台の設置は派遣労働者の禁止業務です。
簡易なテントやパーティション程度のものは可能となっています。また、テント内で使用するイスや装置、大道具小道具の設置は問題ありません。
仮設住宅(プレハブ住宅など)の組立作業も、派遣労働者の禁止業務です。自然災害による避難や工事期間中の仮住まいなど、すべての仮設住宅の組立は、派遣労働者の禁止業務です。
家屋を含む、すべての建造物の解体作業は、派遣禁止業務です。建設・土木工事現場での破壊や解体作業が禁止されているのと同様の扱いとなっています。
派遣禁止業務に該当しない3業務を紹介します。
・現場事務所での事務職
・CADのオペレーター
・施工管理業務
建設業務で派遣禁止業務とされているのは、工事現場で実際に労務者として作業に従事することです。
事務職やCADオペレーターは派遣禁止業務に該当しません。また、工事の施工計画書を作成し、工程や品質、安全を管理する施工管理業務も禁止業務となっていません。
ただ、専任の主任技術者や監理技術者は、請負会社との雇用関係がないため職務につくことができませんので注意が必要です。
ここまで、建設業務の派遣禁止業務について紹介してきました。
建設業務の派遣禁止業務と派遣禁止業務に該当しない業務について理解していないために、思わぬところで違反してしまってはたいへんです。
施工管理や現場監督の派遣として、工事の現場で働く際に参考にしていただければ幸いです。
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