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【監理技術者】の兼任の条件が厳しいのはなぜか?

【監理技術者】の兼任の条件が厳しいのはなぜか?

兼任条件で一番厳しいのは「請負金額」

建設業界のニュースを扱う「建通新聞電子版」が実施したアンケート(7月9日~22日)によると、監理技術者や主任技術者が複数の現場を担当する際の条件の中で「請負金額」が一番厳しいと感じている人が全体の27.0%を占めました。これが最も多い回答でした。

監理技術者とは?

まず、「監理技術者」とは何かを説明します。監理技術者とは、建設現場で工事が適切に進むように監督する人です。工事の品質を保ち、安全に進めるための重要な役割を果たしています。主任技術者も同じく工事を監督する役割を持ちますが、監理技術者はより高度な技術や経験が求められます。

兼任の条件

今回のアンケート結果で話題になった「兼任」について説明します。通常、監理技術者や主任技術者は一つの現場で専任(その現場だけを担当)する必要があります。しかし、新しい法律により、一定の条件を満たせば二つの現場を兼任することができるようになりました。これが「兼任」です。

兼任のための条件

では、兼任するための条件とは何でしょうか?以下に主な条件をまとめます。

  1. 請負金額:兼任が認められる工事の請負金額は1億円未満(建築一式工事の場合は2億円未満)です。この条件が特に厳しいと感じている人が多いです。
  2. 専任義務:通常は、請負金額が4000万円(建築一式工事の場合は8000万円)以上の公共工事や公共性の高い民間工事では、監理技術者や主任技術者が専任であることが求められます。
  3. 現場間の距離:兼任する現場同士が近いことも条件です。遠すぎると移動時間がかかりすぎてしまうためです。
  4. ICT環境の整備:兼任する現場では、インターネットを使って遠隔から工事を管理できるようなICT(情報通信技術)の環境を整えることが求められます。

改正建設業法の施行

6月に成立した改正建設業法では、監理技術者や主任技術者が2つの現場を兼任できるようにするため、専任義務が緩和されました。国土交通省はこの改正に伴い、兼任を認めるための詳細な条件を政省令や監理技術者制度運用マニュアルなどで見直し、12月にも施行する予定です。

アンケート結果の詳細

アンケートの結果によると、特に「請負金額」の条件が厳しいと感じている回答者が多く、専任義務がある請負金額の4000万円(建築一式工事の場合は8000万円)から、兼任が認められる1億円未満(同2億円未満)の工事は、公共事業では比較的多く見られる価格帯ですが、民間工事では小規模・中規模の集合住宅や商業ビルの新築などに限られるためです。

技術者不足の大手企業の声

技術者が不足している大手企業の中には、請負金額が低いリニューアル工事などで技術者を兼任できることを歓迎する声もあります。また、兼任の条件の一つである建設キャリアアップシステムで施工体制を確認できるように、「協力会社に施工体制登録を求めていく」と準備を進めている企業もあります。

終わりに

今回のアンケート結果からわかるように、監理技術者や主任技術者が複数の現場を兼任する際の条件として、「請負金額」が特に厳しいと感じる人が多いことが分かりました。改正建設業法の施行により、今後どのように建設現場が変わっていくのか注目されます。技術者の労働環境が改善されるとともに、より効率的な工事の進行が期待されます。

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